2013年6月26日水曜日

セカンドライフ 10年経ったら・・・

あんまり Secondlife のサービスがどうのこうの、ということは書いてませんでしたが、Secondlife が 10年目ということで、私見をまとめてみました。

今年で Secondlife が 10年目、ということで、SL10B と称して様々なイベントが行われています。
http://secondlife.com/destinations/sl10b

セカンドライフ バブルのようなものが 2007 年に日本で広告代理店の仕掛けにより起こったわけですが、「1億稼げる」みたいなネットビジネス、情報商材ビジネスっぽい紹介のされ方だったため、あっと言う間に(日本では)注目されなくなったのはご存知のところかと思います。

実際のところ、アバターを使ったオンラインチャットによるソーシャルサービスみたいなものが、普通の一般ユーザーにとってのセカンドライフの本質のようなものだと思います。

友達がいない状態で G+ や Facebook、前は Mixi などに参加しても「やることない」状態にユーザーはなり、面白くない、というのは至極当然の結果かもしれません。

一方ではヘアー(かつら)、衣装、アクセサリ、乗り物、動物アバター、スキン(キャラクターのお化粧)、建物、ダンスモーション、スクリプト(プログラム)といったものをクリエーターさんが製作して、共有して、場合によっては販売し、さらに編集不可、コピー不可、譲渡不可などの管理も製作者により設定可能、という「デジタル創作物の製作・共有・公開の場」としての自由度に魅せられた人もいました。

しかし、デジタル創作、、、とはいえ、初期の製作ツールは一般に言われる Maya や Blender といった 3DCG ツールを使うわけではなく、クリエーターさん達は相当工夫(苦労?)されていました。まるで色々な種類のレゴ部品を組み合わせて作るような感じ、、、に近かったんじゃないでしょうか。

とはいえ、そこは「クール ジャパン」を担うクリエーター集団。その当時の、そのレベルのツールで、ものすごいものを製作していました。早々に日本でのセカンドライフへの注目度が下がったことで、セカンドライフを去った方々もいましたが、継続してセカンドライフを利用した彼ら・彼女らの多くは海外のセカンドライフ ユーザーに向けて作品を発表し続けることになります。

外人さんブログや Linden Lab で取り上げられる作品の製作者の中には本当に多くの日本人クリエーターさんがいます。なんとなく、仮想店舗内やマーケットプレースの POP を見ると、日本の方かそうじゃないかがわかります。(たぶん)

当時の作品のほんの一例

StZ-03
LPP by Aoi Mizuno  http://aoimizuno-lpp.blogspot.jp/  最近お休み中みたい


::COCO:: by cocoro lemon http://cocorolemon.blogspot.jp/

全くの個人的な意見ですが、このデジタル創作活動およびデジタル創作物の公開・共有の場をまるで「カンブリア爆発」のように変えたもの(または変えそうなもの)、それが 2010年くらいから始まった「メッシュ サポート」だと思っています。もちろん、それ以前にテクスチャ(画像)によるスカルプト プリムの導入や、ビューワーのシェーダー、レンダリングの品質の改善・強化(影ができたり、被写界深度によるボケの実装)も大きいのですが、これらも COLLADA 形式のメッシュ オブジェクトをセカンドライフへインポートした時のためのもの、と言えるかもしれません。

COLLADA 形式のメッシュ オブジェクトをインポートできることが、Blender や Maya、その他の 3DCG ツールの利用、それらによる製作を可能にしました。現在のところは、これまでセカンドライフ内で製作活動をしていたクリエーターさんがツールの使い方を覚えて作品を仕上げているケースが多いと思います。(もしくは前々から知っていた、使っていた、という方もいらっしゃいます)

メッシュサポートについては以下もご覧ください。
http://wiki.secondlife.com/wiki/Mesh/Creating_a_mesh/ja

アバターの見た目も、このメッシュ サポートにより相当変わりました。

*ARGRACE* KnitCap "Girly wave" ~ (Dark brown)

Sleepy Nea

Mesh Head : Snow Rabbit Hybrid Avatar “Nea” http://shirousaginoel.blogspot.jp/
Hair & Cap: *ARGRACE* KnitCap "Girly wave" ~ (Dark brown) http://argrace.com/
Hair : TRUTH (たぶん外人さん)http://truth-hawks.com/

上の Mesh Head と、いわゆる「付け乳」と呼ばれる Mesh オブジェクト LOLAS Tango(緑色のビキニのアバターが装着)と、一部メッシュを使ったビキニ。なお、ダンスモーションは MMD(MikuMikuDance) 用に作られたものをセカンドライフ内に移植しました。(非売品)

上述の ::COCO:: さんのメッシュドール

MMDでも変態クオリティのこんじょおさんの動物アバター
(人間型アバターは通常のものです)

Lady and tiger

Mesh Tiger by BAKEMONOYA  http://conjoh.blogspot.jp/

先日公開された YouTube の動画では Mesh を使ったアニメ(コスプレ)の制服と立体機動装置が紹介されています。(いずれも Mesh オブジェクト)こちらは別の方の動画になります。(セカンドライフ関連動画としては異例の)たくさんの再生回数があるため、ご覧になられた方もいるかと思います。

Costume and Gimmick by *Edelweiss* http://moekakohime.blogspot.jp/

また、日本人クリエーターだけでなく、外国のクリエーターさんで、かつ、日本のアニメ好き、、、といった方々も意欲的な Mesh の作品を公開しています。

M3 Mesh Head (Hair, mic は別の方の作品です)
M3 Miku Super Close-up

M3 Mesh Anime Head by UTILIZATOR http://utilizator404.wordpress.com/category/second-life/

MikuMikuDance 用に創られたモデルを Blender を使い Collada エクスポーターを使って、セカンドライフにアップロードしたもの。一部方法などが http://meshdolls.blogspot.jp/ にあります。

Gumi pmx mesh doll in secondlife
ままま式GUMIベータ by まままさん (変換は私。まままさんには変換のことを連絡済み)

10年経ってみて、日本の広告代理店が言いふらしていた儲け話の幻想は全くなくなり、それに踊らされた企業やユーザーはいなくなりました。それにより日本での注目度もなくなっていますが、今後はデジタル創作物の公開と共有の場としての使い方が、オンラインチャットとしての使い方より増えるかもしれません。レンダリングなどをみれば 3DCG ツールのほうが当たり前にクオリティが高いですが、ソーシャル的に同時に複数ユーザーによる鑑賞を可能にしたり、編集・コピー・譲渡をクリエーターが創作物に設定できるインフラやサービスは、逆に 3DCG の世界ではあまりありません。再配布やコピーの禁止などは作品を手に入れたユーザーの「善意」に訴えているケースもかなり多いのです。3DCG ツールを使ったデジタル創作物の公開方法は依然「画像」や「動画」が主体であり、オブジェクトそのものを直接見ることは容易ではありません。

今後 3DCG 作品のギャラリー的なサービスは WebGL を使ったサイトが主体になりそうな気がしますが、セカンドライフもひとつの選択肢としてまだ魅力があるように思えます。

Blender 2.6 以降では Collada エクスポートのオプションとして Secondlife 向けのプリセットがデフォルトで入っています。
blenderColladaOption

ようやく使えるようになった 3DCG ワールド、って感じで、個人的にはまだまだ面白いなぁ、と思っています。次はノーマルマップのサポートがきますし!

最後まで駄文へのおつきあいありがとうございました。

[追記]
3年前の動画ですが、これがとても今を良く表していると思います。お金、ビジネス、セックス、エロ、退会、、、いろいろな出来事があるけど、それでもなおすばらしいクリエーターの作品がそこで創られ、そして見ることができる、という内容です。

2 件のコメント:

  1. このエントリー、大変勉強になりました。事後報告ですが、ブログで紹介させていただきました。ありがとうございました。
    http://ebiii.slmame.com/e1359815.html

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  2. えびまよちゃん、トラバありがとー

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